Scribble at 2026-06-23 17:55:10 Last modified: unmodified
生成 AI ブームが、いわゆる S カーブ(シグモイド曲線)の蓋に当たる位置へやってきて、色々な意味での上昇傾向が鈍化するかどうかという話は、ここでも以前にご紹介したとおり正確なことは分からないのだが、もちろんいつかは色々な意味での限界に達するのは明らかだ。
たとえば、具体的に利用者として見ても、僕は Google AI Pro というサブスクを契約していて、月額で2,900円を払っている正規の有料ユーザなのだが、この契約を始めた頃と比べて Gemini のレスポンスが明らかに遅くなっていると感じている。Nano Banana のような計算資源を多く使うサービスに至っては、もうアメリカ人が使い始めると思われる日本の夕方以降は使わないようにしているほどだ。タイムアウトすることもあるし、そもそも実用性を疑ってもいいほどレスポンスが遅くなるからである。このように、海外、しかも他人が運営するシステムに依存すると、どうしてもこのようなことに制約を受ける。生成 AI をローカル・マシンで使うための環境を整備しているのは、こういう理由もある(あと、もちろん「入力したデータを学習に使わない」などという利用規約を信じていないからでもあるが)。
ただ、有料で使っているだけあって、これでも無料のユーザに比べれば優先して使えているのだろうとは思う。無料で、主に Microsoft Edge のサイド・バーで使っている Copilot などは、使い始めた当初から2回に1回ていどは AI のプロンプト・メッセージ(シェルで言う "#" や "%" のような入力を受け付けるための表示)すら出てこないというありさまだったし、いまでも十分に遅い(笑)。
ということで、このようにシェア争いに没頭して計算資源を無理に浪費していると、ユーザのすべてに対するパフォーマンスが平均して低下してくるので、いくら有料のユーザが優先して処理してもらっているとは言っても、その有料のユーザを増やすことが彼らの仕事であってみれば、いまや相当な数のユーザが既に有料のユーザとして計算資源を奪い合っている状況に入っている。そうして、更に「プレミアム」とかなんとか処理を優先させるプランを用意しても、結局はいまでもシェアの大半を占めている金持ちアメリカ人や金持ち中国人で計算資源の奪い合いが起きるだけであろう。そして、そうやっているうちに他のユーザは取り残されてゆき、「ぜんぜん使い物にならない」と利用をあきらめてしまうことになりかねない。どれほど優れたプレゼン資料を生成しようと、新卒が徹夜するのと変わらないくらいレスポンスに時間がかかるようでは、ビジネス・ユースとしては落第である。
また、家庭ユースとして考えると、ここでは何度か書いていることだが、既に個人が画像を楽しむ範囲のクォリティであれば、これ以上の高性能な生成 AI はオーバー・スペックである(また、要求されるスペックも個人では買えないような値段のオタクパソコンになってしまう)。正直なところ、パソコンの壁紙を作ったり、イラストや挿絵のような画像を作るだけなら、もう2年前にリリースされた SDXL のパフォーマンスで十分だとすら言える。あとは、やたらとハイ・スペックなマシンを勧めて煽る連中を無視して、プロンプトや LoRA などのカスタマイズに丁寧に時間をかけて、或る程度のガチャは覚悟して大量の画像を出すだけだ。
そういう意味では、個人ユースの限られた用途だけで言えば、既に生成 AI ブームは落ち着いたと言っていいだろう。