Scribble at 2023-11-17 12:55:25 Last modified: 2023-11-17 12:59:35

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11月の新刊:ドゥルーズ=ガタリと私たち——言語表現と生成変化の哲学

本を出版するというのは、とりわけ小さな出版社にとっては一つ一つが重大な投資案件なわけで、長い時間や予算をかけた著作物の販売で失敗すれば事業が傾くこともある。よって、著者やテーマの選び方はあたりまえのことだがシビアになるわけで、何を書いてもいいから出しやろうみたいな、江戸時代のパトロン的な出版社なんて事業を継続していくのが難しい時代になっている。何と言っても、出版が難しい著者にしてみれば、そのためだけに人間関係をつくるなんて面倒なことをしなくても、いまではクラウド・ファンディングもあるし、公表することだけが目的であれば PDF を作成してブログで公開しても構わないからだ。

しかし、上記のような出版物を眺めていると、まだ日本の出版業界には余裕があるらしいと分かる。皮肉な意味でだがね。俺さ、こういう「私たち」とか博報堂的な押し付けがましい当事者意識の押し売りみたいなスタンスって、思想を弄んでる連中はともかく、哲学やってる人間がやるなよって思うんだよね。正直、学校でお勉強すれば「わかる」ような哲学は知らんけど、僕らが携わっているような哲学と呼びうる営為みたいなものは、他人に紹介するのはともかく薦めるようなことでもないと思う。

あるいは、この本がブーバーのような著作を自己啓発系のインチキな解釈で裏書きするのと似たようなスケベ根性で売れると見込まれてるのだとしても、そんなもん本来の哲学的な思索にかかわることになるような人々にとっては大きなお世話でしかない。勝手にどこの誰だかわからんような「あなたたち」を設定してポモの解釈を語ってるだけだというなら、こういう人を誤解させるようなタイトルを付けるのは止めたほうがいい。

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