Scribble at 2023-08-13 07:29:31 Last modified: 2023-08-15 12:48:50

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情報セキュリティ大学院大学 | INSTITUTE of INFORMATION SECURITY

大学の哲学科について同じ基準を当てはめるべきかどうかはわからないが、少なくとも実益に強い関わりがある学科(だけ)を擁する高等教育機関、なかんずく大学院大学のような専門の高等教育を施す機関にあっては、企業から官公庁にいたる多くの人々に関わりを持つ事業や公共サービスに従事する人員を養成するのであるから、公的な責任も高いと考えるのが自然だろう。よって、多くの国で情報セキュリティやプライバシーに関わる専門の高等教育機関をもつ大学では、研究実績の解説やアウトリーチにも力を入れているし、当たり前だがその前提として研究成果を数多く積み上げている。カーネギーメロン大学や MIT やメリーランド大学のような有数の情報セキュリティ学部をもつ大学だけでなく、多くの(大学院大学のように特殊な機関でもない)大学でも続々と成果が公表されたり、新しいソフトウェアのリポジトリが公開されたり、あるいは PoC がプレプリント・サーバに掲載されたりする。

これに対して、かなり前から MD では書いていることだが、この情報セキュリティ大学院大学というのは、企業で情報セキュリティのマネジメントを預かる実務家の一人として言わせてもらえば、情報発信力がゼロの欠陥大学である。逆に、政府の機密しか扱っていなくて完全に活動内容を秘匿しているのではあるまいかとすら思えるほど、公的な成果や情報や提案・提言の類がまったくない。教育機関としてだけでなく、ここで「教授」を名乗っているらしい従業員らが個人として情報セキュリティや個人情報保護に関するブログやウェブサイトを運営している話も聞かないし、Cryptology ePrint Archive や arxiv.org のように有名なプレプリント・サーバへ論説を載せている事例も見た試しがなく、また何か教科書や基本概念の研究成果や国際規格・業界規範などの解説書を書いているわけでもない。僕が知っている範囲でここの人員がやっていることを事例として紹介するなら、当社が ISMS の認証を受けていたときに(2019年に取り下げた)何年かに渡ってマネジメント・システムの運用状況についてアンケートが送られてきたのを覚えている。そのアンケートの結果についてレポートを掲載しているページにもアクセスしてみたが、単にアンケートの回答をまとめてあるだけであり、これでは中学生の自由研究レベルだなと思った記憶がある。つまり、まともな学術研究の成果として求められるべき "discussion" が欠落しているのだ。

したがって、こういうところに「進学」して学位を得たところで何の意味があるのかわからないのだが、関東にあるのだから、官公庁や IT ゼネコンの情実人事で何らかの力を発揮するのかもしれない。はっきり言って、学術や技術として何の価値があるのかまるで分からない、謎の高等教育機関である。まぁ何か変革する気があるなら、昨今は物書きのおばちゃんに理事長を任せる大学もあるようだし、俺が代わりに仕切ってやってもいいぜ。

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