Scribble at 2023-07-08 13:53:43 Last modified: 2023-07-08 14:04:51
PyTorch に関連するページを見ていると、久しぶりに Preferred Networks という社名を見かけた。そういや、何年も前のことだが、この会社の経営者が公的な補助金を不正に受けていたか利用したかで嫌疑を受けたときに、Twitter で「才能ある人間は犯罪をおかしてもいいんだ」みたいな発言をしていた Preferred Networks の若い社員がいたけれど、まだ頑張ってるのかな。いや、歳をとっただろうから反省しているのだろうとか、反省してほしいとか、あるいは反省しろという意図で、あらためて吊るし上げようとしているわけではない。そんな、大東亜帝国の哲学科とかで教えてるレベルの倫理学などどうでもよい。それから、こういう若者は経営者も含めて発達障害だろうから、talented には多少の傲慢さや不正が認められてもよいなどという、都内の上場企業に勤めるリバタリアン小僧や成金中年が大好きな自己責任論を語りたいわけでもない。そういう、慶応や早稲田で教えてるていどの経済思想など、これまたどうでもよい話である。
だいじなのは、彼らがどういう人間であろうと、また彼らについて我々がどう思ったのであろうと、この事案は殆どの人にとって、おそらく数ヶ月で忘却されたのであろうという事実だ。良かれ悪しかれ、ネットで新しい話題とやらを動物園のサルみたいにせっせとせがむ大多数の凡人というのは、いくらかの日数あるいは数時間が経過して、オンラインの人々やマスコミが騒ぐのをやめると、どういうわけか決着がついたとかコンセンサスに至ったという思い込みに陥る。そして、安心して次の面白い話題へと、サルがマスターベーションするように熱心に同じ事を繰り返すわけである。まぁ、ヒトなんてものは、科学哲学だ、量子論だと言っていようと、しょせんは数十年で死んでしまう矮小な生物にすぎないわけであり、本当のところ遺伝子としても認知能力としてもサルと大して変わらないのだから、別に驚くようなことではない。
もちろん、数ヶ月から数年ごとに、僕が「ああ、そういえばこんな話題で『有能無罪』みたいな、中国の半日活動家と同じようなことを言ってた若者がいたっけ」と思い出すからといって、凡人とは別の次元の人物だなどと言いたいわけではない。まぁ、ただの凡人とは違うくらいの自負はあるがね。しかし、思い出すからといって、さてあのときのツイートは誰のもので、いま当人は Preferred Networks で事業部長でもやってるのか、あるいは何か特許でも出して会社に大金で売り払った後に、長野でパン屋を開いたり、あるいは「元 AI 技術者」といったふれこみで、都内のうぶな若造を相手に哲学や思想でも語ってるんだろうか。いやぁ、どうでもいいよね。僕らが興味をもっているのは、この発言をした個人がどれだけ偉くなってるかとか、何千万円の貯金をして僕らのような零細企業の部長をゴミみたいに思ってるのかとか、そういう話ではない。そうではなく、やはりいまだに「有能なら多少の不正や過ちは許される」のかどうか、いまだに議論するための前提を並べることすら難しいということを確認できるていどであろうということだ。
有能であれば、あらゆる罪や間違いが許されるなどという主張が自己反駁的であることは間違いないだろう。肉体派の右翼みたいな自殺願望でもないかぎり、自滅してもいいなどという前提で事業を始めたり何かを研究したり実装するような人々に、すすんで投資するような人はいない。あの会社には何百億円という公的あるいは私的な資金が投じられてきているが、まさか完全な失敗に終わってもいいなどと投資する側は思っていまい。実際、Preferred Networks は、なんだかんだと言っても何十億円の売り上げを出すていどの実績はあるのだ。
また、僕らが零細企業の人間として毎日のように繰り返している些末な失敗とか不正のような話を彼らにもするというなら、これまた逆の意味で議論は自明と言いうるだろう。どんな些細な失敗も認めないなんて、いったい誰がどの口で言えるのかというわけである。おそらく、そういう Twitter で元気よく活動している、岩波書店の本が大好きな「正義マン」とか「正義警察」みたいな連中は、たぶん働いたこともないか、自分が学生時代におかしてきた無数の失敗や罪ですら忘れているような馬鹿なのだろう。