Scribble at 2025-12-23 15:37:28 Last modified: 2025-12-24 07:59:26
「英語の勉強について」で述べているとおり、僕は英単語帳とか英単語を集めた本という教材を殆ど使ってこなかった。中学や高校時代も、特に中学ではエスカレーター式に高校へ進学できるから受験しないで済んだせいもあって、文法はともかく他の英語教材を熱心には利用していなかった。大学を出た後も、当然だがいまでも英語の勉強は続けているけれど、やはり勉強の主軸は多読・精読であり、単語を覚えるために単語帳を買ったり作るという習慣にはしていない。もちろん松本亨氏にならって、いわゆる "shame book" を作ってはいるが、単語の記憶や usage の実感を定着させるのに特別な効用があるとは思っていない。
その最大の理由は、単語帳や単語の本には、単語や熟語をコロケーションとして正確に身につけるために有効なエピソード記憶を定着させたり強化するための脈絡(コンテキスト)というものが欠落・不足しているからだ。何らかの一貫したストーリー仕立てで例文を構成してある教材もあるが、それでもテーマは或る家族の生活だとか、あるいはせいぜい1ページに収まる時事のトピックを寄せ集めただけという場合が多い。しかし、そういう場当たり的なことでは、生活するために使う言葉だとか、ものを考えるために使う言葉というものは定着しないのである。そういう言葉こそ本当に身につける必要がある。なぜなら、言葉は相手の言っていることを理解したり、自分が言いたいことを言うための手立てだからだ。TOEIC のスコアを取るために言葉、ましてや言語は存在するわけではないのである。
なので、僕が中学時代からやっていることは非常に単純だが、結局は最も有効だと思える。それは、要するに自分が知りたいことや学びたいことや言いたいことが書いてある、それなりに分厚い本を読むことだ。それからもう一つが、雑誌記事などを読んで「いま使われている表現」を学ぶことである。あるいは、映像を利用できるならテレビ・ドラマを観ることも効果があるのかもしれないが、映像や音声は即座に戻って聞き直したり見返すことが難しい。テープあるいはプレイヤーで、1単語ぶんを戻って再生し直すといったことが非常に難しく、文章を目で読んでいるときに単語一つを眺めかえすほうが遥かに簡単だ。そして、プレイヤーだと標準的な再生速度では一定のペースで見聞きする必要があり、最近の「タイパ」な若者と同じく早回しにしても、それは全体の再生速度を変えることしかできないので、要所要所でペースを落として集中するといったことがやりにくい。結局は、印刷物を読むほうが自分自身のペースに自分で合わせられるから効率はいいのである。
ただ、いきなり分厚い小説を読むというのはよくない。小説は口語体が使われるし、表現も難しい。文法すら満足に習得していない人がいきなり格好をつけて手を出すのは愚行である。僕が中学時代に読み始めたのは、分量から言っても、それから使われている表現の正確さなどを考えても適当だったので、Newsweek だった。もちろん、内容については色々と是非を議論できるわけで、書かれている内容に賛同するかどうかは別だ。内容そのものに不満があるなら他にも適当な教材があるだろう。