Scribble at 2024-03-24 20:50:44 Last modified: 2024-04-01 08:06:10

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旭塚古墳 現地説明会

朝鮮半島の古代国家であった百済から伝わったとされている、横穴式石室という形式の埋葬方法がある。山畑古墳群など6世紀の中頃から造営された群集墳では最も標準的な埋葬方法だ。なお、日本で造営された古墳の8割以上が、6世紀から7世紀にかけて造営された群集墳に分布している、全長が100mにも満たない中小規模の古墳である。したがって、これらをまとめて特定の時期を断らずに言えば、日本の古墳の殆どが横穴式石室で埋葬されており、みなさんがご存知の有名な巨大古墳の方が珍しい竪穴式石室を採用しているわけである。

で、上に示した画像は、芦屋市が実施した現地説明会で配られた資料に掲載されていた図だという。これについて少し説明しておくと、現在では殆どの考古学者が上のような図を使って、開口部から玄室(死者を入れた石棺を埋葬した部屋)に向かって右に特別な空間(副葬品や追葬の棺などを奥く場所)をとってある形式を「右片袖式」と呼んでいて、逆に空間があるものを「左片袖式」の横穴式石室と呼んでいる。そして、現在でも研究者によって左右を逆向きに、つまり玄室から開口部を眺めて左右を区別している場合があるので、注意を要する(『河内平野をのぞむ大型群集墳:高安古墳群』、新泉社、2019; この本では、玄室から開口部に向かって左右を区別している)。実際、山畑古墳群について詳しい解説が掲載されている『河内四条史』では逆向きに左右を区別している。その当時は、どちらからどちらを見て左右の区別をするかは、学界としてコンセンサスがなかったことになる。

こういう場合、眺める向きも含めて自然と区別できるように、左右ではなく、たとえば「L式」「J式」などと呼んだ方が誤解の恐れはなくなると思うのだが、そういう機転は効かなかったらしい。あるいは、上の図のように開口部から玄室に向かって眺めたときの向きで区別したいなら、「q式」「p式」という区別でもよい。いや、どちらから眺めてもいいように、「Lq式」「Jp式」でもいい。

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