Scribble at 2024-03-15 07:22:40 Last modified: unmodified

すごく簡単な話をして申し訳ないが、従来のソフトウェア・エンジニアとかデザイナー、あるいは僕のようにどちらも担える distinguished な人材を Gemini や Claude や Copilot のような生成 AI に置き換えるという発想、いや現在は単なるマーケティング的な宣伝文句にすぎないわけだが、それは現実の作業工程を考えたらナンセンスとしか言いようがない。なぜなら、生成 AI は続々と提案はできるけれど、これらの職能において最も重要な決定ができないからだ。そして、或る職能を担うということは、この決定について責任を負うということなのである。

では、生成 AI を「活用」するなどと言っている現実のビジネスではどうなっているかというと、弊社でも営業がプロトコルの修正とか考案のために生成 AI を使っていたりするし、僕自身も会社案内のパンフレットで生成 AI のイラストを使っている。そして、生成 AI が幾らでも吐き出してくるイラストやテキストの中から良いと判断したものを選び出して素材にしたり、あるいは従来の素材や道具を改良するために使おうと決める。そして、これらの選び出すとか決めるという作業は、結局のところ生成 AI にはできないのである。

よって、しばしば雑な言い方で「ソフトウェア・エンジニアを生成 AI で置き換える」だとか「ウェブ・アプリケーション開発を生成 AI で『カンタン』に代行する」だのといった、はっきり言ってデタラメなフレーズを使って、高校レベルの線形代数の基礎も分かってない営業やクラウド・ワーカーがせっせとスパムをバラ撒いているとしても、現実にはそんなことは起きないわけである。提案されたコードやイラストが要求を満たしているかどうかを確認したり、吐き出されたコードやイラストを自分たちの用途に応じて実装するといった、判断や決定を伴う作業は生成 AI にはできないため、実は生成 AI を活用するためには従来のソフトウェア・エンジニアやデザイナーも必要なのである。

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