Scribble at 2025-01-27 16:34:51 Last modified: 2025-01-28 09:27:55
僕らのような業界にいると、とにかく「インターネット前 vs. インターネット後」という偽の対比が色々な文章や議論で繰り返される。そして、もちろんインターネットを利用したビジネスで食ってる連中の大半は、その自意識として自分たちはインターネットがあってこそできる仕事をやっているのだと思いたがるんだよね。なさけないことに。
もちろん、これほどの大規模なネットワークを普及させた多くの人々の努力は称賛すべきこともあるし、何らかの意図や下心でやったであろう国や人々も含めて、一定の評価に値するのであろう。しかし、本当のところインターネットが普及したことによって何がどう変わったのかは、まだ正確かつ冷静に分析できる段階なのかどうか疑わしいと思う。
しかしともかく、そのへんの二束三文な物書きが言う「ネットによって〜が変わった」というのはたいてい嘘である。変わったというよりも、この30年のあいだに起きたのは、(いつの時代も凡人の挙動や思考はそういうものだが)いま手にしているテクノロジーを基準にしてしかものを考えられなくなるという視野狭窄なのであり、それはどういうテクノロジーが世の中に広まった時期でも起きたことだと思う。保守の人間としても言えることだが、われわれはそういうバカの議論にアンカリングしてものを考えてはいけない。