Scribble at 2024-12-28 09:28:18 Last modified: unmodified
昨日で仕事納めとなり、本年度の仕事としては、まだ来週から配信する研修の動画を作らないといけないのだが、所定の業務は殆どが一段落である。そして、来年度は4年ぶりに会社の事業所を移転するのだが、今回は楽と言えば楽だ。弊部で管理している資産の大半は廃棄するし、捨てられない資産の多くはリース物件であるから、会社で借りるトランク・ルームへ一緒に収納するだけである。その他、新しい事業所へ持っていくものは、ほぼない。なにせ、移転先は WeWork のレンタル・オフィスである。
四年間と言えば、太平洋戦争と同じくらいの期間であり、戦時下とは状況が全く違うにしても、生活や仕事の環境なりスタイルや制度なども色々と変わるには十分な期間であったと言えるだろう。弊社では、まず大きな変化としてリモート・ワークを正式に就業規則へ取り入れたので、4年前から会社へ出社するのはせいぜい週に1度となっていた。しかも規定は「週に4日はリモート・ワークしてよい」という内容であるため、祝日や有休があれば、その週は全く出社しなくてもいいわけである。なので、僕はだいたい毎月2日ていどの有休をとっているから、平均すると一ヶ月のあいだに出社しているのは2日か3日である。しかも、既に業務で必要な資料や書籍の大半が自宅にあるため、出社しても実質的にやれる仕事が限られており、はっきり言えば会社に出る方が生産性は落ちるわけである。加えて、会社のマシンや作業環境では、Adobe のアプリケーションをまともに動かすスペックでもないし、研修用に配信する動画の収録や編集もできない。
このところ多くの企業で RTO (return to office) の施策が叫ばれているようだが、あれはリモート・ワークを実施した結果にもとづくバック・ラッシュというよりも、寧ろリストラの口実に使われている印象が強い。つまり、リモート・ワークの効果がなかったので RTO を実施するというよりも、生成 AI などの導入によって人件費を削減できる目処が立ってきたので、RTO を実施して何割かの社員が辞めたら、その数に応じて新しく体制を組み直せばいいというだけのことである。つまりは、富士通や TIS の下請けコーダのようにマニュアルで教育されただけで Java を書いているような、replaceable で disposable な仕事をしていると、どれだけ給料をもらっていてもそういう結果になるのだ。
これに対して、既に業務の実態に応じてリモート・ワークを導入している組織にとっては、逆に社員を会社へ戻す方が大きな負担となるし、生産性も低下する可能性がある。細かいところでは、僕のように自宅で自分のマシンで作業している者にとっては、既に会社の業務マシンではスペックが不足しているから、再び会社で大半の作業をするというなら、業務に応じたスペックのマシンに買い換えてもらう必要がある。当然、僕は仕事でも生成 AI をローカルで動かしているので、最低でも予算は25~30万円になる。これほどまででなくとも、いまでは大半の社員にノート・パソコンを貸与している状況が、その半分ていどに再びデスクトップ・パソコンを購入して貸与するとなると、一時的とはいえキャッシュ・フローが悪化するのは確実だ。
そして、もっと負担になるのは、もちろん事業所のスペースを確保するコストである。大阪市北区のテナント・ビルとなると、だいたいどこでも耐震基準を満たしていてセキュリティもしっかりしているところなら(もちろん入居審査はあるが)、50名前後の会社が入るオフィスを借りようとすると毎月の賃料が200~300万円ていどはかかるはずだ。これをリモート・ワークにして一部の社員だけが出ていればいいようにすると、もっと狭くて安いオフィスでよくなるし、WeWork のようなレンタル・オフィスであれば机や椅子どころかネット環境も用意しなくていい。