Scribble at 2024-09-04 12:02:27 Last modified: 2024-09-04 12:13:16
アマゾンが洋書の取り扱いを止める可能性はあろう。そもそも、そんなに日本人が洋書を買っているとは思えないし、いまでは出版社が直に電子書籍を販売しているのだから、アマゾンで買うよりも Springer のセールで電子書籍を買うほうが何割も安いという場合だって増えた。電子書籍で読んでいることが多いなら(もう個人で購読している雑誌は大半がオンラインだろう)、特に大学教員がアマゾンでわざわざ買うメリットはないかもしれない。すると、学生や僕らのようなアマチュア、長野県に書庫用の別荘を買うような成金でもない大多数のアマチュアにとっては、アマゾンがなくなると紀伊國屋や丸善といった非常に高額なレートで洋書を販売している EC サイトを利用するか、あるいは出版社の EC サイトで電子書籍を購入するくらいしかなくなるだろう。だが、試しに Wiley & Sons のような出版社で Blackwell インプリント・ブランドの書籍を選んでみるとよい。アンソロジーに収録されている論文をたった1本だけ PDF でダウンロードするのにも、$40というコストがかかる。これでは、結局のところ近世くらいまで逆戻りである。貴族しか哲学を学んだり情報にアクセスできないということになる。すると、僕としては SciHub や Z-Library のような海賊サイトを利用するか、あるいは手持ちのリソースだけで勉強なり研究を続けることになるだろう。
まぁ、それでもいいけどね。例の「シュプリンガー祭り」で、最近の論文は不足しているにしても、大量の論文を手に入れている。あとはオープン・アクセスで読める論文や PhilSci Archive などを利用すればいいし、Stanford Encyclopedia of Philosophy の会員でもあるから、ああした論説を一通り読むだけでも参考になることは多い。ていうか SEP の論説を bibliography に掲載してる論文を『科学哲学』で見たことが一度もないのだが、誰か参考にしている事例はあるんだろうか。ていうか、僕は神戸大にいた頃から情報処理センターのワーク・ステーションでアクセスして印刷したエントリーを読んでたから、もう30年くらい SEP を利用してることになるけど、ひょっとして国内のプロパーで読んでる人はそれほど多くないんだろうか。
それから、洋書が売れていないという理由で扱いを止める可能性があるだけでなく、僕がここで何度も指摘しているように、不正な出品が出回らないよう管理するコストにも売上が見合わないようになってきたということかもしれない。でも、そもそも不正な出品をちゃんと管理していたのかどうかは、僕には疑わしいのだが。
繰り返すと、アマゾンの洋書カテゴリーで販売されている不正な出版物や、不正ではないが道義に反する出版物を列挙すると、
・既存の出版物を複製した例(これは明白に違法行為)
・Wikipedia のエントリーやパブリック・ドメインの著作物を再編集した例(違法ではないが道義に反する)
・"Notebook," "Graph paper," "Password Journal" などのノートを書籍と称している例(不正表示か詐欺になりえる)
といったようになっていて、正直なところアマゾン・ジャパンの洋書カテゴリーは、これらの不正な出版物で埋め尽くされている印象がある。もう、これらを定期的に排除するコストに売上金額が見合っていない可能性がある。しかも、これらの不正な商品は、何度も言うが BBC でテロリストや共産国などのマネーロンダリングに悪用されていると指摘されているにもかかわらず、国際司法や警察の手も入りにくい事情から殆ど手が付けられていないという印象がある。ほぼ、アマゾンは犯罪組織のマネーロンダリングに関して「共同正犯」として検挙される状況になりかねない。そんなリスクを放置してまで、大して売上の出ていない洋書をサポートする必要があるだろうかという話である。もちろん、これらの事情が本当なら、僕がアマゾンのアジア圏の決裁者であれば撤退を考えるかもしれない。