Scribble at 2024-06-14 12:16:52 Last modified: 2024-06-14 12:18:43

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これまで不老不死は荒唐無稽な夢物語とみなされてきましたが、技術の進歩とともに、必ずしも実現不可能ではないと考えられるようになりました。このプレゼンテーションは、今後、新しい技術によって不老不死が実現できるかどうか、また不老不死の時代が来るとするなら、それに備えて今から何をすべきかを論じ、今回、私が出版した本『不老不死は可能か』の導入とします。

不老不死は可能か

昨日、寝る前に観ちゃったんだよね。この人物は論説を公開しているサイトを運営していて、話題によっては丁寧に調べていて感心するテーマの論説もあるのだけれど、こういう話題になると、やはりどうしてもアマチュアっぽさが出てしまう。

つまり、どこかに「不老不死は可能だ」(というか、不老不死になりたい)という動機があるんだろうね、それで都合がいい学説を集めてきて並べると、ブルーバックスやポピュラー・サイエンスの翻訳みたいな通俗科学書しか読んでない人にしてみれば、筋が通っていて説得力もあるかのように見えるわけ。でも、ここで紹介されている数々の学説はたいていが・・・敢えて最近の流行語で言えば「それって、あなたの意見ですよね?」というていどのもので、学術的にはオッペケペーとしか言いようがない。マルチバースなんて、はっきり言って SF オタクが計算だけで仕立て上げた妄想だろ? だって、宇宙の行く末が破局しか考えられないなら(これが現状ではコンセンサスだ)、そういう未来から逃げ切るためには SF しかないよね。転生して幼女の天才軍人になるとか、魔王の一人に列せられるスライムになるとかさ。

とにかく、先の落書きで述べたように、バイオ・テクノロジーや創薬などで「寿命を伸ばす」だの「老化を止める(遅らせる)」だのと言っても、その寿命とか老化って何のことなのかということすら、生理学・生物学・生化学として正確には分かっていないわけで、まず人体の話として言う不老不死なんて、その遠い遠い先を見通した話なのだから、分かってもいないことを永遠に先延ばしにするなんて理解不能である。それは、まさしく不老不死というのがただの観念にすぎず、それに見合う妄想や SF の類をかき集めて喋ってるだけだからだ。

そして次にだね、やはり予想どおりというか、「意識のアップロード」という話も出てくる。彼の場合はエンタグルメントを応用して、新しく開発された「^^何か_1^^」に脳の「^^何か_2^^」を量子力学的に情報として転送すればよろしいという理屈のようだ。もちろん、その両方の「何か」が明確に理解されていて、そして脳の何かを別の何かへ転送することで必要十分であるという multiple realizability が立証され、そして臨床的にも、「それ」は僕の自意識と同じ状況に置かれているだけの別物という、致命的な錯覚ではないという確証があればの話だが、これも全く根拠がない。

ということなので、やはり科学哲学とは言わないまでも、せめて基本的な意識の議論を整理したり、あるいはそこでの説得力ある結論を持ってから、この手の科学的なファンタジーを展開しないと、どうしても底の浅いものになってしまう。

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