Scribble at 2024-06-12 15:04:48 Last modified: 2024-06-12 17:09:38

このまえホリエモンと岡田斗司夫の対談というのを3時間も眺めていたのだけれど、この人たちはどうやら医療なりバイオ・テクノロジーの進歩によって、自分たちの寿命を1,500年とかに引き伸ばせるとか考えてるらしいんだよね。この対談は2010年に収録されたようなので、もうそれから15年近くが経過しているわけだ。でも、彼らには気の毒なことに、1,500年どころか、そもそも寿命を延ばすとはどういうことなのかについての学術的・臨床的なコンセンサスすらないというのが実情だろう。もちろん、いわゆる「健康寿命」という意味でも基準がはっきりしないところがある。フレイルさえ起きていなければいいかというと、そういう問題でもない。

そもそも、気軽に寿命を延ばすだの創薬でどうのと言うけれど、そんなことをどうやって実現するのかというリアリティを考えたら、幾つかの問題がある。まず、CRISPR だろうと創薬だろうとナノ・マシン開発だろうと、それによる効果をどうやって検証するかという問題があって、原則として人体での実験に倫理的な制約があるのは明らかだ。これね、仮に検証するための何か方法があるとしてだね、要するに寿命に関する「加速度試験」みたいなものが可能だったとしてさ、実際にやるか? 実験なんだから失敗もあるわけだよね。たとえば寿命を1万年に引き伸ばすという目標で進められている開発工程の加速度試験とやらで、被験者に遺伝的な改変を行ったり薬を投与したりナノ・マシンを注入して、効果を見るために1,000年ぶんだけ人工的に老化させられるなんてことができるとしよう。それ、やる? 何度も言うけど、実験段階なんだから、なんでもかんでも一度で成功するなんて保証はないわけだし、その加速度試験をやって失敗した場合の人体ってどうなるんだろう。どう考えても人体実験という以前に殺人だよね。

という具合なので、こういう加速度試験ができるとしても、たぶん中国とか北朝鮮とかロシアとかモルディブとか、そういう専制国家とか胡散臭い国でしか実験できないわけだ。いや、現実には目的が手段を正当化するという理屈は体制がどうであろうと関係なく通用してしまう集団とか個人がいるわけなので、本当のところはアメリカや東アジアの辺境地帯で日本とか呼ばれている国でも実施されるかもれない。死刑囚とか、適当に捕まえたヤクザとか、身寄りのないホームレスとか、その気になれば好き勝手に被験者にできる人なんて幾らでもいるというわけだ。あとは、実験が成功しさえすれば、「これでみなさんも寿命が1万年になるんですよ! そのためにヤクザやホームレスを何人か実験台にしたことくらい、どうだっていいでしょう」とかなんとか、自民党の陣笠に言わせて詰め腹を切らせたら終わりだ。

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