2018年11月01日 に初出の投稿

Last modified: 2018-11-01 22:40:47

Enderton の教科書は、Computability も Logic も読んでみたいのだけど、ペーパーバックですら 10,000 円くらいの値段なので、おいそれとは手が出ない。でも、決して買えない値段ではない。

買えない値段ではないと言えば、仕事が終わってジュンク堂へ立ち寄ったときに、また熊野さんが大部の本を出していたのを見つけた。今度は『本居宣長』か。一人で清水書院の「人と思想」でもやるつもりなんだろうか。

かと思えば、立命のお勉強君はふたたび釣りタイトルみたいな本を出していて、絶好調のようだ。四国の元公務員さんとか、哲学教授だと言い張ってる「元『朝まで生テレビ』のブレーン」とか、北陸で変わった観点しか取り柄がない新書を書きまくってる方とか、AI とか最新の話題を底の浅いアプローチで論じている広川太一郎に似た文字列の氏名だった人物、あるいは早稲田系列のエロ本ラノベみたいな自己啓発書を書いてる学生なのか教員なのか分からんレベルの人物、それからウーロン茶だか麦茶だか言った薀蓄垂れなどと合わせて、アジアの辺境地域で通俗哲学本を書く人々は、これからも愚かな出版社とともに適当な自惚れ啓蒙を続けていくのであろう。ああ、それから昔の文法を針小棒大に議論していた、田舎の高速道路がどうとか言ってた人物もいたが、もうそういうのはいつの時代にも蛆虫と同じくらいたくさんいるから、哲学者であるわれわれにとっては、こういう面々を全ていちいち数えあげ続ける意義などない。

もとより MD では、こんなクズみたいな通俗書を何億冊とばら撒こうと何の役にも立たないと言ってきた。個人が生きるにあたっての影響力など調べようがないので、あからさまに分かる指標で言えば、例えば『ソフィーの世界』を読んで哲学を志したと真顔で言えるプロパーが日本に何人いるのか数えてみろというわけだが、そんな直接的な効果でなくとも、こんな本が売れていようと売れていなかろうと、世の中からバカは全く減らないという一点だけでも効用は推し量れよう。それどころか、人々が哲学の成果に低コストで触れるチャンスはますます増えており、出版社のサイトでは多くのプロパーが無料で文章を公開しているし、専門雑誌の論文だって相当な数が無料で読めるのに、皮肉なことだがバカは増える一方だ。

英語さえ苦にならなければ、英語で書かれたり英語に翻訳された古典的な著作の大半は、既に無料で読めるのだ。こういうチャンスが増えるのは、もちろん良いことだ。放っておけば貧乏な家庭に生まれ育った子供は、公共図書館があろうと行く暇などないし、本を読んでいれば(コンプレックスゆえか)「そんな役に立たないことしやがって」などと怒る親もいて、家庭でも子供は強いストレスに打ち勝たなくては勉強できない。したがって、親に文句を言われずに好きな情報へ簡単にアクセスする手段としてはネットが最適だと言える。そして、ネットには20年前では考えられなかったような、勉強の教材が山のようにある。ネットと機器が手に入って、時間と精神的なストレスさえ対処できれば、多くの若者が自由に学べるというのは、喜ばしいことだと言っていい。

でも、その結果として20年が経過した今日、僕らは新しい局面で奇妙な状況に置かれている。情報のコストが下がれば下がるほど、それを活用する人間がバカになっていっているように思える。これは、もちろん「集合知」などという軽薄なプロモーションとは別の話だ。バカが何億人と集まっても多くのバカがいるというだけの話であり、そんなところから世界を変革するような知見が生じるなどと期待するのは妄想もいいところだ。しかし、問題はそんなことではなく、われわれが膨大な情報を活かしきれておらず、そしてそのためにも必要な教養とか公平な視点の育成といったことを無視して、単に量を増やすだけでは活かせていない情報を更に大量に集めることだけに躍起になっているということだ。その結果が、Google 検索のクソみたいな結果であり、ビッグデータ「しかない」愚かな大企業の情報システム部のアホ面した連中が『情報処理』に書く論文とか、事務機屋が湾岸で主催する愚かなカンファレンスの数々であり、ウェブ制作・開発の業界において殆ど使い物にならないレベルの若者しか育てられない高校の「情報」科目と、素人教員の放置である。

要するに、この国はバカが教育を設計し、バカが制度を運用して、バカが子供に教えている。これでは Twitter でクソみたいな構成作家とつるんで他人を恫喝しては暇をつぶしているような人間のクズが増えるのも仕方がない。

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