2018年05月31日 に初出の投稿

Last modified: 2018-06-02 11:13:57

たまに表記揺れしているか、全く無自覚に書いている人もいるのだけれど、「参照文献(references)」と「参考文献(bibliography)」は区別した方がよいだろう。特に、"bibliography" は「書誌学」という意味でも正確に使われている分野があるので、文献のリストという意味合いで "bibliography" の言葉を使っているのは雑な慣習にすぎないという可能性がある。

また、「参照」文献は refer する役割があるため、本文中で「[Kawamoto, 2018: 20]」とか典拠表記していない文献を掲載するのはおかしい。単に読んで参考にはしているが、引用したり、あからさまに典拠表記しているわけでもない文献に敬意を表して(あるいはクズみたいな文献なので吊し上げるために)リストへ載せたいというなら、そういうリストは明らかに「参考」文献の表である。

すると、「参考」文献の場合には、本当にその文献を読んだのかという疑いが残る。特に、学部生の卒論などでしばしば見受ける事例だが、文献の一覧に関係がありそうな本とか授業で使った本を、読んでいようといまいと大量に列挙すれば、何か「論文」としての権威や信頼性が高まるかのような錯覚に陥っている人もいる。恐らく、本人がそういう文献を読んで圧倒されたからなのだろう。いわく、本の帯に「碩学」だの「知の巨人」だの「若き俊英」だのと書かれた俗物どもや一発屋の本を読んで卒論でも書こうかという人にありがちな話だ。卒論の場合は口頭試問をやれば文献の一覧がハッタリかどうかくらい分かる(正式なものではなく「懇話会」という場でだが、神戸大で初めて同席した僕でも判断がついた)が、学術研究者の論文の場合は、査読者が確認しない限りは読者がいちいち質問することはまずない(というか、大方の読者は、もちろん正当な態度だとは思うが些事だと見做していると思う)。

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