Scribble at 2024-04-10 22:03:49 Last modified: 2024-04-12 18:45:17

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プレデターというか、そもそもまともなオンライン・ジャーナルの体をなしていない、個人のブログにも劣るような運営の自称学術雑誌なんてものは、それこそ山のようにあって、いまでも続々と増えている。僕の仕事での管掌である情報セキュリティでも、上のような International Journal of Information Security Science などと称しているクズ同然の自称オンライン・ジャーナルがあって、これはもともと http://www.ijiss.org/ijiss/ つまり自前のドメインで公開されていたようなのだが、いまはアクセスすると自動で他のサイトへリダイレクトするようになっている(その先に何があるのかは知らない。ブラウザが脅威判定してブロックするからだ)。良いこのみんなは、URL を手打ちして興味本位でアクセスしないようにしようね。

ちなみに、僕はもともと怪しいサイト(怪しい発行主体)としてマークしていたのであって、こんなオンライン・ジャーナルに最初から価値があるなんて考えていない。そもそも、トルコの団体が発行していて "international journal" を名乗っている時点で不遜というものだろう。また、editorial board に筑波大学の岡本栄司氏の名前が見えるけれど、この方にしてから筑波大学のサイトを見ると20年近くも業績を出していない。サイトを更新していないだけなら、要するに既に退官された人物であろう。したがって、名誉教授などとして雑誌の編集に参加できる人物として協力を要請したのか、あるいは海外のインチキ雑誌ではよくあることだが、適当に名前を拝借して並べているだけの可能性もある。ちなみに、この岡本という人物は、例の情報セキュリティ大学院大学(国際的な業績のある研究者もいなければ殆ど公的な啓発活動もせず、上場企業と官公庁しか相手にしない「伏魔殿」)が主催する「情報セキュリティ文化賞」という内輪褒めの意味不明なイベントでは、我が国の暗号論や情報セキュリティの研究をリードした人物として表彰されており、失礼ながら今井秀樹氏などに比べて著書をどこの大型書店でも見たことがないのだけれど、それなりに論文とか現実的なシーンでの実装などに貢献されたのであろう。本を書いているかどうかは、工学の分野ではあまり業績の指標にはならないからだ。この岡本氏のように現実の技術の基礎を前進させたような人物も表彰されてしかるべきかと思うのだが、それはまた別の話である。彼の名前がトルコの雑誌に editorial board として掲載されているからと言って、それだけで信用するなんてのは、情報セキュリティの実務家としては軽率というものであろう。

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