Scribble at 2017-10-17 12:41:42 Last modified: 2018-01-31 10:32:54
意思決定理論に関わる本だから、まぁそれまで彼女がやってきた因果関係の哲学と関連があると言えばあるわけだけど・・・この本が出るという話が出始めていた頃は、ちょっと呆気にとられていた。それよりも、これまでに出してた因果関係の本ではなく(数年前から因果関係の推定に関わる本がちょっとしたブームで出てるのに)、こういう本を先に翻訳してしまうのが日本の出版事情ではある(これ、名古屋大出版会から出てるわけで、大学の出版事業がこういうものを優先して出すようでは、先行きは暗い)。
それから、指摘は指摘として分かるけど、日本でこういう論評をしても、どのみち日本の哲学者って合理主義にコミットするのは若造特有の熱狂みたいなものとされ、(勉強不足を隠す表面的な)相対主義を装うのが洗練された態度であるかのような風潮があったんだから、はっきり言ってインパクトないよね。「そうそう、そうだよね。人間って、割り切れないものだよね」みたいな、似非社会学か似非心理学のウンコ議論が老成の証しみたいなものだという自意識がある。そういう自意識を丁寧に強化したり保全してあげるような議論をいくら出したところで、日本ではやはり無効だ。